父の剣で、祖父を殺す夢を見た。
骨を砕く重い手応え、自分に降りかかる血の温み。
音は全くしない。
「何故?」と訴える祖父の眼差し。
寝台から転げ落ち、逃げようとする祖父を執拗に追いかけ、幾度も刃を沈める。猟獣に止めを刺すときのように冷静に。
祖父の体から命が消えたと感じ取った時、歓喜が我が身を走っていくのがわかった。
強大な獲物を打ち倒した喜び。群れの王の座を奪い取った若い野獣のような歓喜。
祖父との面会を許されたのはそれから二日後の昼。
締め切られていたせいか、部屋の中はすえたようなにおいがする。
寝台の上に起こした半身を、重ねた枕にもたせ掛ける祖父は、どこか縮んでしまったかのように見えた。
それでも「貴様が家督を継ぐ機会をまた奪ってしもうたわ」と皮肉を漏らし、声を立てて笑う。
それならば、まだ私をお叱りになる必要があるのでしょうと若君は苦笑いする。
よかろう、覚悟しておくがよいと笑みを浮かべる祖父の顔だけを見るように心がけた。
夢の中で、祖父の命を奪ったのはこの部屋だったから。
硝子や水盤のような鏡の様を成す物も目に入らないようにしていた。
映りこむ自分の影が、自分の罪を暴き立てるように思えて恐ろしかった。
お前は化け物だ。自分の肉親を手にかけ、それを喜ぶような夢を見るなど、と。
2009年05月21日
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